往復割引乗車券の区間変更(復割取消を伴う事例)

普通乗車券は、使用開始後に次のいずれかの変更(区間変更)を行うことができます

①着駅又は営業キロを、当該着駅を超えた駅又は当該営業キロを超えた営業キロへの変更→乗越し
②着駅を、当該着駅と異なる方向の駅への変更→方向変更
③経路を、当該経路と異なる経路への変更→経路変更

詳細の説明は省略しますが、これは往復割引の適用された往復乗車券においても同じでした。

今回は、そのうち、経路変更をした事例(復割取消を伴う事例)について紹介します。

 

 

武蔵野線東所沢駅⇔湖西線マキノ駅の往復乗車券を原券とし、往片使用中・復片使用前の状態にて、往片のみ山手線新宿駅から北陸線近江塩津駅までの経路変更をした乗車券です。復片に対して区間変更は行っていません。なお、原券には往復割引とともに学生割引が適用されています。

往復割引乗車券において区間変更をする場合の取扱いは、ケースにより①往復割引を取り消さない場合 ②往復割引を取り消す場合 の2つに分かれます。

以前紹介した往片、復片の両方に対して同一の変更を同時に行う場合においては、往復の要件を引き続き満たすため、往復割引の取消は必要ありませんでした。一方、今回のように往片、復片いずれか一方のみ区間変更となる場合においては、往復の要件を満たさなくなるため、往復割引を取消し、差額を精算する必要があります。

今回の場合、変更のある券片(=往片)について、通常の区間変更と同様に区間変更に係る精算額を算出するとともに、往復割引相当額を算出・収受することで往復割引を取消します。改札補充券は往片、復片の各別に発行し、区間変更のある往片に対するものについては事由を「区変」、区間変更のない復片に対するものについては事由を「復割取消」として発行します。また、往片に対する券片においては旅客規程第235条第9号ソの規定により記事欄に「復割取消」が記入されています。

収受額について、このような場合、往片に対する券片の収受額は往復割引取消しに伴う相当額(往復割引相当額を2で割って得た額)と区間変更に伴う不足額の合計額となり、復片に対する券片の収受額は往復割引取消しに伴う相当額となります。区間変更に伴う不足額は不乗車区間の運賃が変更後区間の運賃を上回ったため0円となり、取消しを行う往復割引による割引額は、原券区間の往復割引を適用しない学割運賃から原券の収受額を差し引いた額である1580円となっています。
今回の場合では往片:区変収受額0円+往復割引相当額を2で割った額790円=790円、復片:往復割引相当額を2で割った額790円=790円が収受額として発行されるのが正当なところですが、今回は往片に対する券片においては区間変更に伴う不足額、復片に対する券片においては往片及び復片の往復割引取消し分の全額が収受額として発行されました。総収受額は同一であるため、発行方の誤りに伴う問題はほとんどありませんが、この後、発行された改札補充券のうちいずれか一方を払いもどす場合には払いもどし額に誤りが生じてしまう可能性があります。

余談ですが、今回変更を行った東日本会社においては、往復割引の取消しを伴う改札補充券を発行する際、往復割引の取消し相当額については諸料金切符を用いて収受を行うこととなっています。諸料金切符は発行後に旅客に渡ることはなく、そのまま審査箇所へ送付されてしまいますが、今回「諸料金切符」という区分で発行されたレシートが交付されましたので、画像を添付します。

今回は以上です。ご覧いただきありがとうございました。

【参考】旅客営業取扱基準規程(抜粋)

(往復割引普通乗車券に対する区間変更の取扱方)
第279条 往復割引普通乗車券を所持する旅客が、規則第249条第1項第2号及び第3号の規定による区間変更を申し出た場合は、同第243条第2項の規定にかかわらず、次の各号に定めるところにより取り扱うことができる。
 (1)往片及び復片の変更区間が同一となる区間変更を、往片及び復片とも同時に取り扱う場合で、実際乗車区間の片道の営業キロが600kmを超えるときは、当該乗車券を無割引の普通乗車券(往復割引の学生割引普通乗車券についても同じ。以下この条において同じ。)とみなして、往片及び復片の各別に規則第249条第2項第1号の規定により旅客運賃を計算し、特別補充券を発行して旅客に交付する。
 (2)往片又は復片の経路の変更が規則第16条の3に掲げる左欄及び右欄の経路相互の変更である場合は、当該券片を無割引の普通乗車券とみなして規則第249条第2項第1号の規定により旅客運賃を計算し、特別補充券を発行して旅客に交付する。
 (3)前各号以外の場合は、原乗車券に表示された発着区間に対する無割引の往復普通旅客運賃(学生割引の場合は、学生割引の普通旅客運賃)と既に収受した旅客運賃との差額を収受して往復割引を取り消すとともに、当該乗車券を無割引の普通乗車券とみなして旅客運賃を計算し、次により特別補充券を発行して旅客に交付する。
  ア 往片の区間において変更をする場合で、復片を所持しているときは、往路の往復割引の取消しによる差額及び規則第249条第2項第1号の規定により計算した額をあわせて収受して往片の特別補充券を、復路の往復割引の取消しによる差額を収受して復片の特別補充券をそれぞれ発行する。

(一般用特別補充券の各欄の記入方)
第235条 出札補充券、改札補充券、料金専用補充券及び車内補充券の各欄の記入方は、次の各号に定めるとおりとする。
 (1)事由欄は、次に掲げる略号を記入(略号が記入されている場合は、○でかこむ。)することができる。この場合、異なる種類のものを一葉として発行するときは、それぞれの略号を組み合わせて「片道特急」の例により記入する。ただし、乗車券類の代用として発行するとき及び前途の他列車に対して発行するときは、略号の後に「券」をつけるものとする。
  セ 第279条第3号の規定による往復割引の取消し又は区間変更
    復割取消又は区変
 (9)記事欄は、次により記入する。
  ソ 往復割引を取り消す場合は、事由欄を「復割取消」とするときを除いて、「復割取消」と記入する。

(一般用特別補充券の発行方)
第236条 一般用特別補充券は、次の各号に定めるところにより発行し、甲片は旅客に交付し、乙片(払いもどしの取扱いをするものを除き、旅客から回収した乗車券類とも)は別に定める改札日報、乗車券簿又は車掌区収入日報に添附して審査課長に提出する。この場合、不使用証明用として発行する車内補充券は、変更終了後、旅客に交付するものとする。
 (2)改札補充券
  オ 往復割引普通乗車券を所持する旅客に対して、第279条第3号の規定により、区間変更の取扱いをする場合は、往路用と復路用とを各別に発行する。

2024年4月1日現行 九州旅客鉄道株式会社旅客営業取扱基準規程及び旅客連絡運輸取扱基準規程のテキストデータを掲載 - 東北部ほかほかセンター